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第10章 ドラゴン兄貴

「エレーレが迎えにくるから、逃げて」

ぼそっと呟いたかと思うと、ヒールダートの背中の羽が大きく羽ばたいた。

体が膨れ上がり、尻尾が生えてくる。
天を震わせるような咆哮が聞こえてきたかと思ったら、そこにはもう青いドラゴンがいた。

たくましい足で窓枠を破壊しながら飛び立っていく。

「力で兄に敵うとでも思ったか」

男は好戦的に唇をつり上げた。