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第11章 怪我人には優しくしましょう

「姫様からキスしてくれたのは初めてですね」

ヒールダートが嬉しそうに笑う。

「し、死にそうな顔で言われたから！」

「本当にそれだけですか？」

「もうしないっ！ 二度としないっ！」

「えー？」

ヒールダートの手が私の髪に触れる。
くるくると指先が毛束をもてあそんだ。

なんで私はこんなやつの言うことを聞いてしまうのか。