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姫はひそやかに咲き乱れる~戦国恋華【れんか】~
第2章 恋の唄
「先ほど、保邦さまは邦昭さまがお父君だけではなくお母君の心をも得ようとなさったと仰せでしたが、あれは、どういうことなのでしょうか? お千鶴さまは邦昭さまをあまりお慈しみにはならなかったのですか?」
その問いに、保邦は静かにかぶりを振る。
「そのことに関しては、私にはしかとはお応え致しかねまする。何しろ、私がまだ襁褓の取れぬ赤児の頃の話ゆえ」
と、笑いながらも、保邦は、きちんと彼なりに知る限りのことを話してくれた。