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姫はひそやかに咲き乱れる~戦国恋華【れんか】~
第4章 花冷え
―そのようなお手(て)蹟をお持ちの保邦さまがお羨ましうございます。私、恥を申し上げるようでございますが、字の方はさっぱり自信がございませんの。保邦さまのような素晴らしい先生に教えて頂ければ、私のような者でも少しは上達するかもしれませんね。
徳姫が半ば本気、半ば謙遜で言うと、蓮心尼は、保邦に徳姫の書の指南を頼んだのだ。
早速、葛木が用意した紙に、たっぷりと墨を滲ませた筆で徳姫が〝いろは歌〟を書き付けてみる。