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姫はひそやかに咲き乱れる~戦国恋華【れんか】~
第1章 始まりはいつも雨
そのためには良人の寝首をかく覚悟も必要だし、ひとたび婚家と実家の間で戦が起これば、嫁いだ女は殺されても文句は言えない。いわば、政略のために嫁がされる女は実質的には〝人質〟であり、贄(にえ)でもあった。
そうやって敵地に赴いた女たちは美しき楔(くさび)となり、時には婚家や良人の動向を実家に伝える間諜(スパイ)のような役目も果たしていたのである。
壮絶な覚悟を打ち明けられた嘉政は徳姫の願いを容れた。この場合、徳姫の不遇な生まれ合わせがかえって効果的に隠れ蓑となった。
そうやって敵地に赴いた女たちは美しき楔(くさび)となり、時には婚家や良人の動向を実家に伝える間諜(スパイ)のような役目も果たしていたのである。
壮絶な覚悟を打ち明けられた嘉政は徳姫の願いを容れた。この場合、徳姫の不遇な生まれ合わせがかえって効果的に隠れ蓑となった。