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姫はひそやかに咲き乱れる~戦国恋華【れんか】~
第4章 花冷え
そろそろ妊娠五月(いつつき)に入ろうとする胎児は、順調に発育しているようだ。今月の半ばには、蓮心尼が帯親となり、妊婦の安産を願う着帯の儀を行うことになっている。帯親というのは、妊婦の腹に岩田帯を巻く女性であり、出産を経験した年輩の女性が務めることが多い。
邦柄の瞳が急に深く翳った。徳姫の何げない仕種を邦柄は敏感に見ていたようだ。
「この寒さでは、お腹に障るのでは?」
その口調は極めて平坦で、特に感慨が込められているようには聞こえない。
邦柄の瞳が急に深く翳った。徳姫の何げない仕種を邦柄は敏感に見ていたようだ。
「この寒さでは、お腹に障るのでは?」
その口調は極めて平坦で、特に感慨が込められているようには聞こえない。