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姫はひそやかに咲き乱れる~戦国恋華【れんか】~
第1章 始まりはいつも雨
徳姫がそう見当をつけた時、春風のように現れた男が屈託なく言った。
「おい、いきなり無礼なことをするから、姫がびっくりしているではないか。花嫁御寮は遠路はるばる永尾まで来たのだ。長旅でさぞ疲れているだろう。今夜は、一人で手脚を伸ばしてゆるりと寝(やす)ませてやってはどうだ?」
「佐(さ)治郎(じろう)、おぬしは大抵、ここぞというときに現れては、俺の邪魔ばかり致すな」
邦昭がジロリと一瞥するも、佐治郎と呼ばれた若者は、いっかな気にする風もない。
「おい、いきなり無礼なことをするから、姫がびっくりしているではないか。花嫁御寮は遠路はるばる永尾まで来たのだ。長旅でさぞ疲れているだろう。今夜は、一人で手脚を伸ばしてゆるりと寝(やす)ませてやってはどうだ?」
「佐(さ)治郎(じろう)、おぬしは大抵、ここぞというときに現れては、俺の邪魔ばかり致すな」
邦昭がジロリと一瞥するも、佐治郎と呼ばれた若者は、いっかな気にする風もない。