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姫はひそやかに咲き乱れる~戦国恋華【れんか】~
第1章 始まりはいつも雨

今回の入輿に関しても、徳姫は葛木には月山に残るように説いた。しかし、忠義一徹のこの乳人は、たとえどこまででも姫さまとご一緒にと言い張ってきかなかった。
「畏れながら、姫さま。この葛木は、我が子への想いや未練はとうの昔に絶ち切っておりまする。私が我が子とお思い申し上げるのは今は、この世にただお一人、姫さまのみ。我が子のためならば、この生命などいつでも歓んで差し出しましょう。どうか姫さま、私の身についてはご懸念あそばされませぬよう」
「畏れながら、姫さま。この葛木は、我が子への想いや未練はとうの昔に絶ち切っておりまする。私が我が子とお思い申し上げるのは今は、この世にただお一人、姫さまのみ。我が子のためならば、この生命などいつでも歓んで差し出しましょう。どうか姫さま、私の身についてはご懸念あそばされませぬよう」

