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姫はひそやかに咲き乱れる~戦国恋華【れんか】~
第1章 始まりはいつも雨

「こちらの殿には、ご兄弟はいらっしゃらないと聞いたが、あのご様子ではご親戚筋にでも当たられるのか」
佐治郎本人は邦昭に対して〝自分は可愛い弟だ〟と自ら言っていたけれど。
「申し訳ございませぬ。私も彼(か)の方のことは、お名前すら存じ上げませず」
情報通の葛木さえも佐治郎の存在は事前に知り得なかったようであった。
それからほどなくして、徳姫は床に入った。
奥御殿の一角に位置する徳姫の寝所は、ひっそりと静まり返っている。
佐治郎本人は邦昭に対して〝自分は可愛い弟だ〟と自ら言っていたけれど。
「申し訳ございませぬ。私も彼(か)の方のことは、お名前すら存じ上げませず」
情報通の葛木さえも佐治郎の存在は事前に知り得なかったようであった。
それからほどなくして、徳姫は床に入った。
奥御殿の一角に位置する徳姫の寝所は、ひっそりと静まり返っている。

