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第10章 遭遇

殺しもしないし、人質として取引材料にもしない。
では、どうするのだとリノが頭を捻ると、シバが右手を高く挙げた。
「――捕らえろ」
シバが右手を振り下ろすと同時に背後から一斉に飛び出した者達が、リノを取り押さえた。
口と鼻を布で押さえつけられ、だめだとわかっていながら、わずかな空気を求めて無意識に呼吸をする。そして、やはり呼吸をしてはいけなかった。布に染み込んでいた薬が呼吸によってリノの体内に取り込まれ、意識を奪っていった。