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みんな同じ空の下
第22章 心を占めるもの
「…知っていたなら、どうして…、私を捕らえなかったのですか?」
ニナが微かに震える声で訊いた。
ナミキが顔を上げて微笑む。
「馬鹿で愚かだって笑ってくれていいけど、要は惚れた弱みってやつだよ。ついでに思い直して咬龍団と手を切ってくれたらって都合のいいことも考えてた。それくらい君に夢中だったよ。君はどうだったかは知らないけどね」
柔らかい声でそう言うと、ナミキは立ち上がった。
「さて、名残惜しいけどそろそろ行こうかな。荷造りもあるし」