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みんな同じ空の下
第6章 少女が「女」を捨てた日 ~其の壱:十年前~
十年前、リノは火北地方西部に位置する揺火村(ヨウカむら)で母と暮らしていた。
粗末な家で二人、貧しい生活ではあったが、リノは優しい母がいるだけで充分だった。
「母さん。私が大きくなったら、いっぱい稼いで、食べきれないくらいのご馳走と大きな家と綺麗な衣服を贈るからね」
「そう、それは楽しみだわ。じゃあ母さんは、それまで仕事をがんばらなくてはいけないわね」
母は優しい笑みを湛えてリノの頭を撫でた。
母といられるなら貧しくても構わないと、リノは思っていた。
だから、母を奪われたあの日、リノは殺意を持って斧を手に取っていた。
粗末な家で二人、貧しい生活ではあったが、リノは優しい母がいるだけで充分だった。
「母さん。私が大きくなったら、いっぱい稼いで、食べきれないくらいのご馳走と大きな家と綺麗な衣服を贈るからね」
「そう、それは楽しみだわ。じゃあ母さんは、それまで仕事をがんばらなくてはいけないわね」
母は優しい笑みを湛えてリノの頭を撫でた。
母といられるなら貧しくても構わないと、リノは思っていた。
だから、母を奪われたあの日、リノは殺意を持って斧を手に取っていた。