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みんな同じ空の下
第6章 少女が「女」を捨てた日 ~其の壱:十年前~
*
母はすぐに帰ってきた。
その体には鞭で打たれたり、殴られたような跡が、肌の見えている部分の至る所についていた。
衣服で見えない部分はもっと酷いことになっているはずだ。
母の顔は血の気が引いており、生気がない。
呼吸をしていない。
心臓が動いていない。
――――そこに、命はなかった。
納税をしなかった罰を受け、母は息絶えていた。
母は村人たちによって荼毘に付され、その遺骨は家の横に埋葬された。