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第9章 出立前夜

「もし、潜入することになって、身の危険を感じたらすぐに逃げろ。逃げても誰もお前を臆病者だとは謗らない。なぜだかは、解るな？」
「…生きるため、ですね」
リノの言葉にハクトは大きく頷いた。
「代わりなどいくらでもいるというが、私はそうは思えない。皆、等しく掛け替えのない者達だ。リノ、当然お前の代わりなど、何処にもいない。だから危険に晒されて死ぬくらいなら、生きるために逃げて帰ってこい」