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甘く、深く、繋がって
第14章 疑心暗鬼
気分良く仕事を片付けて、お昼休憩。朝通勤中に早速田中さんに誘われて、初めて二人でランチに行く。場所は『グラン・ブルー』
黒田さんと揉めて以来。
あの時お店のスタッフの暖かい気遣いに、斎藤さんが私との関係を話してくれていた事を知った。

そういえば……帰り際、お店の人を紹介してもらったんだった。
『俺の彼女』
あんな事の後にも関わらず、何のためらいもなくそう言ってくれた、のに……その前後が強烈で、忘れてた。
私、ちゃんと『彼女』だって、斎藤さんに言ってもらえてる……

いつものウェイターさん、桐生さんが窓際の席へ案内してくれた。ごく自然にキッチンが見える方へ座らせてもらえて嬉しい。
「お決まりの頃、またお伺いします」
優しい笑みで会釈された。
テーブルを離れた彼の後ろ姿を目で追って
「ねぇ」
向かい合わせに座った田中さんが小さな声で私を呼んだ。身を乗り出す彼女に私も頭を寄せる。
「今の人、綺麗ね。河合さん仲良いの?」
ドキッとして
「良く来るので、覚えてもらえたみたいです」
当たり障りなく誤魔化す。
「そんなに来るの?」
「はい、どれも美味しいですよ」
「ホント?楽しみ」
にっこり笑って田中さんがメニューを手に取った。
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