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甘く、深く、繋がって
第14章 疑心暗鬼
一度気になり始めると、些細な事まで疑って疑心暗鬼に陥いりそう
それは、嫌
そんな風に思いたくない
斎藤さんを疑いたくは、ない
信じていたい
信じたい……
だからこれは『振り』じゃない
私は斎藤さんを……信じてる
昨日より三十分程早く、斎藤さんが家に来た。コートをハンガーに通して気付いた、あの香り。
気持ち悪い
めまいする
……違う
違う、もの
じわりと熱くなりそうな目をギュッと閉じた。小さく息を吐いてゆっくりと目を開く。
……大丈夫
いつも自分のコートにするようにブラシで埃を払い、消臭スプレーを吹き掛けた。
「ありがとう」
気付いた斎藤さんに後ろから包まれた。届いたのは斎藤さんの、甘い香り。
少なくともコートを脱ぐような所では会ってない。
ホッとして
「……ぃぇ」
応える声が震えるかと思った。
あの人はどうして斎藤さんが私に電話で話した事を知っていたの?
頭を過る疑問に目をつぶる。
身動ぎすると斎藤さんが腕の力を緩めてくれた。顔を見られたくなくて、胸に額を押し当てる。
ふふっと笑った斎藤さんがスイッと抱き寄せてくれた。
「どうしたの?」
耳朶に掛かる甘いテノール。
「逢いたかった、です」
額を擦り付けて囁いた言葉。小さな声も斎藤さんは逃さない。
「俺も、逢いたかった」
優しい声で包まれて、私は揺れる気持ちを心の奥へ押し込めた。
それは、嫌
そんな風に思いたくない
斎藤さんを疑いたくは、ない
信じていたい
信じたい……
だからこれは『振り』じゃない
私は斎藤さんを……信じてる
昨日より三十分程早く、斎藤さんが家に来た。コートをハンガーに通して気付いた、あの香り。
気持ち悪い
めまいする
……違う
違う、もの
じわりと熱くなりそうな目をギュッと閉じた。小さく息を吐いてゆっくりと目を開く。
……大丈夫
いつも自分のコートにするようにブラシで埃を払い、消臭スプレーを吹き掛けた。
「ありがとう」
気付いた斎藤さんに後ろから包まれた。届いたのは斎藤さんの、甘い香り。
少なくともコートを脱ぐような所では会ってない。
ホッとして
「……ぃぇ」
応える声が震えるかと思った。
あの人はどうして斎藤さんが私に電話で話した事を知っていたの?
頭を過る疑問に目をつぶる。
身動ぎすると斎藤さんが腕の力を緩めてくれた。顔を見られたくなくて、胸に額を押し当てる。
ふふっと笑った斎藤さんがスイッと抱き寄せてくれた。
「どうしたの?」
耳朶に掛かる甘いテノール。
「逢いたかった、です」
額を擦り付けて囁いた言葉。小さな声も斎藤さんは逃さない。
「俺も、逢いたかった」
優しい声で包まれて、私は揺れる気持ちを心の奥へ押し込めた。