この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
甘く、深く、繋がって
第16章 過ぎ去らざる戒め
「表、出ます」
桐生さんの硬い声に頭を上げた。
表?
真純?
数分前にメールが届いていた。
みゆきに怪しまれない様に気を付けながら視線を流す。厨房から見える窓の端、歩道に座り込む真純を見付けた。隣に屈んだ男に見覚えがある。「姫」の「ナイト」……
ザワリと胸が騒ぎだす。
何があった?
大丈夫、なのか?
こちらを向いたままカクテルグラスを傾けるみゆきに舌打ちしたくなる。ディナーのオープン後間もなくやってきて、ずっとあそこに居座られている。
本当に、厄介な女。
表情を変えず、真純から視線を外す。どんなに気になろうとみゆきがいる以上は動けない。桐生さんに任せるしかない。
時計を確認し、調理に意識を集中させる。
「今日は上がっていいぞ」
不意に、佐伯さんに声を掛けられた。思わず振り返った横顔は何時もと変わりなく、調理の手を休める様子もない。
「何言ってるんですか?」
聞き返した俺を見ようともしない。
「姫ちゃん連れて、早く帰れ」
その言い様は俺より先に真純に気付いていたらしかった。
「まだ10時過ぎたばかりですよ?」
「構わん。お前じゃない。姫ちゃんの為だ」
桐生さんの硬い声に頭を上げた。
表?
真純?
数分前にメールが届いていた。
みゆきに怪しまれない様に気を付けながら視線を流す。厨房から見える窓の端、歩道に座り込む真純を見付けた。隣に屈んだ男に見覚えがある。「姫」の「ナイト」……
ザワリと胸が騒ぎだす。
何があった?
大丈夫、なのか?
こちらを向いたままカクテルグラスを傾けるみゆきに舌打ちしたくなる。ディナーのオープン後間もなくやってきて、ずっとあそこに居座られている。
本当に、厄介な女。
表情を変えず、真純から視線を外す。どんなに気になろうとみゆきがいる以上は動けない。桐生さんに任せるしかない。
時計を確認し、調理に意識を集中させる。
「今日は上がっていいぞ」
不意に、佐伯さんに声を掛けられた。思わず振り返った横顔は何時もと変わりなく、調理の手を休める様子もない。
「何言ってるんですか?」
聞き返した俺を見ようともしない。
「姫ちゃん連れて、早く帰れ」
その言い様は俺より先に真純に気付いていたらしかった。
「まだ10時過ぎたばかりですよ?」
「構わん。お前じゃない。姫ちゃんの為だ」