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甘く、深く、繋がって
第5章 燻るモノ
……違う。そうじゃない。
私、もう流されてる。
そういう事、したくないのに。

私を見下ろす斎藤さんが小さく首を傾げた。また、眉が下がってる。
「そんなに嫌だった?」
「えっ?あ、ううん」
顔に出ていた事に気が付いて、慌てて否定した。

そういう関係になる前にちゃんと話さなきゃいけないのだけど……

「そう?」
確認されてコクンと頷く。
「起きようか」
そう言った斎藤さんがまた身体を重ねてきてドキっとする。肩の後ろに手を差し込まれて、抱き起こされる。
ふわっと届いた厨房の匂い。
さっきは気付かなかったけど、改めて悪い事をしてる気分になる。

仕事中、なんだよね……

「俺のこと嫌いになった?」
「えっ?ううん」
予想外の言葉に驚いて見上げると気まずそうな顔の斎藤さんがいた。
「真純、顔曇ったままだから、やり過ぎたって……今さらなんだけど、ホントごめんね」
「ううん、斎藤さんの事嫌いになったりしてませんよ?」

斎藤さんが、というか……私はセックスが好きじゃない。

「ホント?」
「はい」
「俺のこと、好き?」
真剣な目で見つめられて、心臓が加速する。

い、言わなきゃダメですか?
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