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甘く、深く、繋がって
第2章 遭遇
時計はもう10時。
1人残っていたオフィスの照明を落とした。
この時間はオートロックに切り替わっているはず。念のため閉めた扉の把手を捻り、動かない事を確認してそこを離れた。

私の仕事は通信設備会社の一応営業。
自分で案件も取りに行くけど、営業のみんなが取ってきた案件を整理して現場に出る技術さんに割り振るのが主な業務。
個々の案件の場所や規模、要望と5人の技術さんの能力とを照らし合わせ、パズルのように組み合わせて行く。簡単なようで、意外と難しい。移動時間や効率もだけど、技術さんの休憩や食事の時間も考慮したい。
みんな頑張って取った仕事だから、技術さんにも気持ち良く働いて欲しい。
去年畠山さんの現場に付かせてもらってそう思うようになった。

いや、技術さん凄いです。

お陰で私の営業にも力が入るようになったんだけど、そっちはなかなかね……

今月は島崎さんが取ってきた無謀な案件のお陰で他との調整が上手くいかない。

……あんな契約、今からじゃあ絶対納期に間合わない。
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