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甘く、深く、繋がって
第7章 失態
情けなくて、恥ずかしくてまともに顔を見られない。足元に視線を落とした私にウェイターさんがそっと肩に手を掛けた。
「こちらで少しお休みになって下さい」
案内されたのはこの前斎藤さんと一緒にいたバックヤード。椅子を引いて座らせてくれる。
「何か温かい物お持ちしましょうね」
穏やかな言葉の後、扉が閉まった。

ここで斎藤さんとキスをしたのはほんの数日前の事。それなのに、私……

どうしようもない自己嫌悪。
はぁと大きく息を吐いて机に鞄を置いた。その上に額を乗せてまた息を吐く。

明日、仕事行きたくない。
私の机は営業の隣、技術さんの末席にある。黒田さんの、隣……

しばらく突っ伏しているとトントントンと控え目なノックが聞こえ、ガチャリと扉が開いた。
「ミルクティー、甘さは控え目にしてありますので、お砂糖も置いておきますね」
食器の触れ合う音がして、紅茶の良い香りが私に届く。
「狭い所ですが、気にせずゆっくりして下さい」
こんな事までしていただいて、俯いたままでは申し訳ない。
「ぁ、ありがとうございます」
お礼を言って緩慢な動作で頭を起こす。見上げたウェイターさんは何時もの優しい笑みでお辞儀を返し、静かに部屋を出ていった。
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