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甘く、深く、繋がって
第7章 失態
一瞬目を疑った。

この前苛々させられた男に手を取られて入ってきたのは、紛れもなく真純で。
眉を下げ俯いて、こちらを見ようとしない。

それは一応俺の事気にしてんの?

「タク、そろそろ七卓のパスタ頼む」
「はい」
佐伯さんに声を掛けられ、調理に取り掛かる。どんなに真純が気になろうと、仕事は仕事。
一段落した頃、ホールの桐生さんがビールのグラスを乗せたトレンチを差し出してきた。
「行く?」
「良いぞ」
確認する間もなく佐伯さんの声がして
「行きます」
トレンチを受け取った。

「お待たせしました」
真純が小さく肩を震わせ、俺を見上げる。その目は今にも泣きそうで、後悔しているのは明らかだった。だから何も言えなくて
「今日、一緒に帰ろうね」
そう告げた。

な の に……

何キス許してんの?
しかも二回目は抱き締められて舌まで差し込まれる、とかあり得ない。

ジリジリと燻る黒い熱。

直後に真純が相手の舌だか唇だかを噛んで逃れたのは見えていた。
でも、収まらない怒り。

あのね、真純。
君は誰の?

間違えられないよう、その身体に刻んであげるよ。
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