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甘く、深く、繋がって
第8章 刻む印
見つからない答に諦めて湯船から上がった。浸かり過ぎて頭が少しボーッとする。
洗面器にお水を張り、顔を洗って……
鏡には顔を上気させた私が写っていた。

今、考えるのは黒田さんの事じゃない。斎藤さんとの事……

そう思って頭に浮かんだ斎藤さんの言葉。

『俺のだって確認したい』

それって、つまりはソウイウ事……だよね?
どうしよう……

言われるままにお風呂に入っておきながら躊躇する。知られたくない、淫らな身体。

触らないで欲しいって言ったら黒田さんとの事、疑われてしまうかな?
でもソウなって、退いたり呆れたりされたくない。
もし、今までの人みたいに斎藤さんと身体だけの関係になってしまったら?

……嫌。そうはなりたくない。
でも、拒んで疑われるのはもっと嫌。

ぐずぐず考えていたら身体が震えて、もう一度湯船に沈む事にした。暖かくなるまでぬくもって、お風呂から上がる。
脱衣室で身体を拭きながら、持って来た荷物が無くなってる事に気が付いた。
あるのは無地の白いTシャツ一枚。もちろん下着も、ない。

こ、これ着るの?

戸惑いつつも仕方なく袖を通す。鏡に写る自分の姿に恥ずかしくなった。
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