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五十嵐さくらの憂鬱。
第2章 …2
1限が始まった瞬間
さくらの集中力が増した。
教授の一言一句すべてを聞き逃すまいと
とにかく集中した。
そうでもしなければ、
顔から火を吹いて
校内でボヤ騒ぎを出しかねなかった。
ーーー私、なんであんなこと。
身体の芯が火照って
頭の中が真っ白になる感覚ー。
気がつけば、舐められた耳を無意識に触っていた。
丹念に舌で犯された耳朶は
今だに熱を持っている。
あの長い指が
太ももをゆっくり撫でるのを思い出す。
ーーー気持ちよかった、なんて。
自分のばかさ加減に腹が立って
食いつく様にノートに授業の全てを書き写した。
人の集中力は30分もたないというが
90分の授業に恐ろしく集中したせいか、
さくらの頭がオーバーヒートした。
「つ、疲れた…」
自販機で温かいココアを購入し、
食堂のいつもの席で小春を待った。
春すぎの少し肌寒い気温に
ココアの温かさが芯まで染み入る。
しばらく待てば、人形のようなショートカットの女の子ー小春が入ってきて、
さくらの横に座った。
「はるちゃんお疲れ。ちょっと、聞きたいことあるんだけど」
「んー?なに?」
小春は先ほどの授業のプリントを大量に取り出して
整理をしはじめた。
「…稲田樹って男知ってる?」
それを聞いた瞬間、小春がびくりと肩を震わせ
周りを見回した。
情報通の小春なら知っているのではないかと
にらんでいたさくらの予感はばっちり当たった。
「……さくら。稲田先輩。先輩って、ちゃんとつけた方がいいよ?」
首をかしげて見せると、小春は困った顔をした。
「その人、元ヤンで、ちょう怖いって話だよ。
呼び捨てにしてるのバレたら
そっこー首絞められておだぶつだよ!」
さくらの集中力が増した。
教授の一言一句すべてを聞き逃すまいと
とにかく集中した。
そうでもしなければ、
顔から火を吹いて
校内でボヤ騒ぎを出しかねなかった。
ーーー私、なんであんなこと。
身体の芯が火照って
頭の中が真っ白になる感覚ー。
気がつけば、舐められた耳を無意識に触っていた。
丹念に舌で犯された耳朶は
今だに熱を持っている。
あの長い指が
太ももをゆっくり撫でるのを思い出す。
ーーー気持ちよかった、なんて。
自分のばかさ加減に腹が立って
食いつく様にノートに授業の全てを書き写した。
人の集中力は30分もたないというが
90分の授業に恐ろしく集中したせいか、
さくらの頭がオーバーヒートした。
「つ、疲れた…」
自販機で温かいココアを購入し、
食堂のいつもの席で小春を待った。
春すぎの少し肌寒い気温に
ココアの温かさが芯まで染み入る。
しばらく待てば、人形のようなショートカットの女の子ー小春が入ってきて、
さくらの横に座った。
「はるちゃんお疲れ。ちょっと、聞きたいことあるんだけど」
「んー?なに?」
小春は先ほどの授業のプリントを大量に取り出して
整理をしはじめた。
「…稲田樹って男知ってる?」
それを聞いた瞬間、小春がびくりと肩を震わせ
周りを見回した。
情報通の小春なら知っているのではないかと
にらんでいたさくらの予感はばっちり当たった。
「……さくら。稲田先輩。先輩って、ちゃんとつけた方がいいよ?」
首をかしげて見せると、小春は困った顔をした。
「その人、元ヤンで、ちょう怖いって話だよ。
呼び捨てにしてるのバレたら
そっこー首絞められておだぶつだよ!」