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五十嵐さくらの憂鬱。
第13章 …13
心配で固まるさくらをよそに
樹は何やらテレビと携帯を
ケーブルで接続し始める。

「修ねぇ…修。
博識でいいやつなんだけど
クールを通り越してドライだよ。
って、まだ、好きと決まったわけじゃないけど」
「アドレス、知りたいみたい」
「え? 本気じゃんか?」

さくらはしまった、と思った。
小春のピュアな乙女心を、
本人が話してもいない第三者に知られるのは
気分が悪いことに違いない。

「いや…なんか、昼間話したとかで…。
失礼なこと言っちゃったから、謝りたいんだって!」

咄嗟についた嘘でさくらにしては上出来だった。
樹はふーん、と口を尖らせ

「そういうことなら教えるよ」

さくらの携帯に、修の個人情報を送信した。

「あ、ありがとうございます!」

さくらはそれをそのまま
小春に送った。
2秒後に小春から返信がきて

『おんにきる!』

と小春らしい解答が浮かんでいた。
あまりにも小春らしくて微笑んでいると
テレビからなにやら卑猥な声が聞こえてきて
そちらを見た。
そして、後悔し、顔が一瞬にして沸騰した。

「せ、先輩…!! これ!!」

樹はさくらの隣に腰を下ろすと
リモコンで音量を上げた。
テレビのスピーカーから、
聞きなれない女の声と
聞き慣れた樹の声。

「そう。図書館で撮ったやつ。
いつ見せようか迷ってたんだけどさ」
「やだ、消してください! 今すぐ!」

嫌に決まってるだろ、と樹はさくらを引っ張って
自分の広げた膝の間に座らせる。
そのままさくらを抱きしめて
耳を舐めた。

「よく見て。さくら、あんなにエロい格好で
図書館にいたんだよ?」
「やだっ…!」

恥ずかしさのあまり
心臓の音が耳の奥から聞こえてくる。

「本棚に縛りつけられて…みて、あんな風に腰を動かしてるんだよ」
「いやぁ……」

映像でまさか、自分を見せられるとは。
スクリーンに映し出されると
それは自分ではないもののように感じるが
紛れもなく自分であるという奇妙な確信もある。

画面の中で、樹にいたぶられて
腰をびくびくさせて喘いでいる。
目隠しされて感度が上がり
樹を求めて苦しそうにしている。

「…変態だね」

樹は後ろからさくらの首筋を舐め始めた。
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