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五十嵐さくらの憂鬱。
第5章 …5
「イけよ、さくらーーー鳴け」

ーーーあっ………ーーー

ぎゅ、と中が締まり
どくどくと血が巡る音が聞こえる。

立っていられず
膝から力が抜けると
樹が抱きかかえるようにしてくれて
近くの椅子に座らせてくれた。

樹にしがみついたまま
さくらは呼吸が戻るのを待った。

「さくら、またイっちゃったの?」

それにはもうただ、うなづくしかできない。
自分の身体が自分のものではなくなったみたいに
快楽を貪ろうとしている。

「気持ちよかった?」

樹の声にかあっと顔が熱くなる。

「気持ちよかった…です」
「変態だね。これから、もっと変態になっていくんだよ、さくらは」

樹は面白そうに、愛おしそうにさくらの長い髪の毛を指に巻きつけて遊んだ。

「今日は下着返してあげる」

ただし、と樹は整った唇の端を持ち上げる。

「俺の命令があったら
絶対に言うこと聞けよ?」

絶対だ。
そう言わんばかりの瞳。
相手を服従させることなど
樹にとっては簡単なことなのだ。

「返事は?」
「はい…」

いい子だ、とさくらの頬を優しく手で包み
媚薬級のキスでさくらを縛り付ける。

「次に彼氏と会うまでに
もっとインランな身体にしてやるよ」

そして、樹はさくらを自宅まで送り届けた。
バスの中では言葉につまり、ほとんど会話を交わさなかった。
それでも、居心地が悪いとかはなく
ただそこに2人は在るように在るだけだった。

家に着くと、樹は
さくらに向かってにこりと笑った。

「ずっと考えてたんだ、明日のこと。
今、決まったから教えるね」

その柔らかな笑みにさくらはつられて微笑みそうになったが、
樹の言葉を聞いて凍りついた。

「下着。持ってきてもいいけど
つけてきちゃダメだ」
「え…いや、そんな…」
「嫌とは言わせないよ?
スカートはかわいそうだから、パンツでいいからね」

わかった?と念を押すように見つめられて
さくらはおずおずと首を縦に振った。

「じゃあ、明日。
B棟の資料室に朝1番で」

さくらははいとうなづき
扉が閉められた。
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