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五十嵐さくらの憂鬱。
第8章 …8
「せんぱ…怖かっ…」

泣き崩れるさくらを抱き寄せて
樹は背中をさすった。
乱れた着衣を直して
頭を撫でる。

「お前…俺の部屋だぞ」

樹はいたって冷静だった。
いや、冷静以下かもしれない。

「俺がキレるまえに、その粗末なイチモツをまずしまえ」

言われて光輝はあくせくとジーンズを身につけた。
その間にも樹はさくらを玄関の方へ誘導した。

「お前、さくらに何したかわかってんのか?
こんなに怯えて…。
お前がしたのは、レイプと変わんない」
「俺は彼氏だぞ。誰だか知らねーけど
お前にとやかく言われる筋合いねーよ。
俺の女は俺のもんだ。
何しようが俺の勝手だ」

樹の空気が凍った。
一瞬にして殺気が漂い
啖呵をきった光輝の方が怯んで眉根を寄せた。

「付き合うのは勝ってだが
彼女は決してお前の“モノ”なんかじゃない。
人をモノ扱いするな」

光輝はまだ何か言おうとしたが
樹の殺気になにも言えないでいる。

「それから、この今の瞬間から
さくらは俺の女だ。
下手に手を出してみろ。商売道具のその手首
使い物にならなくさせるぞ」

殴られなくてよかったなと言わんばかりの勝気な空気。
手出しはしなくとも、樹の勝利は確実だった。

「なんだよさくら…。あんなに俺がいいっていってたのに…」

光輝は立ち尽くして、樹の影にかくれるさくらを見やった。

「光輝のこと、好きだったよ。
でも今は好きじゃない…。
痛いことするし、嫌なことするし。
光輝は私のこと好きだった?
違うよね。何をしても逃げないと思って
いいように利用して執着してただけだよね…」

さくらは一気にそれを言うと
大きく深呼吸した。

「別れてほしいの。お願い」

一瞬のような
永遠のような沈黙が流れ
そのあとに光輝が「わかった」とつぶやいた。

「さっさとその男とどっか行けよ。
こっちも、2度と顔見たくない」
「行こう、さくら」

樹に促されて
さくらは光輝の家を後にした。

何も喋らず、ただ、もくもくと2人は歩いた。
しばらくすると
別れられた安堵と
先ほどの痛みと恐怖が襲ってきて
さくらは盛大に震えた。

「……怖かったよね。
もっと早く行ってればよかった…」

樹に後ろから抱きしめられ
やっと震えが収まる頃には
月はすでに空高く登っていた。

「うちにおいで…」

樹の囁きに導かれるようにさくらは歩いた。
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