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第3章 二十人殺し

「ずっと前から、おかしいと思ってたんだ。来るたんびに、女房と二人で長いことしゃべってんだよ。アルベリオは相談に乗ってるだけだって言ってたけど、そんなに薬について話すことなんてあるか？　あまりにもおかしいもんだから、隠れて覗いてたんだ。そしたら、そしたら……女房の奴、アルベリオにキスしようとしてた！　ふざけんな！」

それだけならよくある話のように思えた。
どうせ弟の美しい見た目に惑わされて、女の方が迫ってきたのだろう。

淫魔の力に目覚めてはいないが、そろそろまわりが放って置いてはくれなくなる時期か。

女だったミュカは、ずいぶん早くから男たちの欲望をぶつけられてきた。
弟は男だったから今まで何とかやってこれたのかもしれない。