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リリスの双子 ―悪魔が見た男女の記録―
第2章 母と息子
今度はひとつでは済まなかった。
アルベリオに向けられた敵意が爆発して、一斉に怒声と石つぶてが襲いかかってきた。
アルベリオは後ずさり、走ってその場を逃げ出した。
「なんで? 僕は何もしてない!」
森の中を駆け抜けながら、アルベリオは頬をぬぐった。
足が震えて転びそうになる。
一度にたくさんの悪意をぶつけられた衝撃はなかなか消えてくれない。
そして、脳裏にちらつく広場に並んだ白い遺体たち。
「僕は誰も殺してない!」