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リリスの双子 ―悪魔が見た男女の記録―
第3章 二十人殺し
広場に出てくると、夕食の仕度の匂いがした。
空は茜色に燃え上がっている。
絶望の始まりを告げる色だ。
目の前を狩りの帰りらしき男が兎をぶらさげて歩いていた。
この男も逞しい体つきをしている。
「おや、薬売りさん? こんな時間にいるなんて珍しいね」
男は気さくに声をかけてくる。
「へぇ? この顔に見覚えあるんだ?」
ミュカは次の標的を決めた。
にっこり笑うと、狩人はぼうっとなって荷物をその場に落っことした。