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片想いの行方
第2章 通称 ヒメ
「……美和。ありえない。
いくら蓮くんにベタ惚れだからって」


次の日のお昼。

中庭のベンチに並んで座り、お弁当を広げていた田中アンナが、冷たい声で言い放った。


「でっでも…!ほら、最初は名前順だったから。
席替えしたのって6月……」

「それでも、後ろの席だったってことに1ヶ月も気付かない。
それ以前に姫宮 蓮を知らない。
……あの “ ヒメ ” だよ?
どんだけボーッとしてたのよ」


う……もう返す言葉がない……

あたしは無言のまま卵焼きを口に運んだ。


* * *


今朝、ドキドキしながら教室に入ると

姫宮蓮は、本当にあたしの後ろの席に座っていた。

机の上に突っ伏して寝ていた彼の横を、ソロ~ッと通り抜けて自分の席に着いたんだ。


授業が始まると、妙な緊張感が走って

いつもなら窓際の1番前に座っている鈴木くんの背中を、ウットリと眺めているんだけど

今日は、自分の背中の方が気になって仕方なかった。


「始業式で、2年のクラス表が張り出された時のこと覚えてないの?」

「クラス表……」

「蓮くんとヒメが同じA組になったから、けっこー騒がれてたじゃん。
あ、卵焼きうまそー。 1個もーらい」

「……全然気付かなかった……」


あたしの名前と、鈴木くんの名前が同じ列にいたことに、1人大興奮だったから……

アンナがあたしのお弁当から卵焼きを持ち出したけど、
そんな事もスルーしちゃうくらい放心してしまう。
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