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片想いの行方
第14章 夏祭り
「…………」


蓮くんは、あたしからヒメに視線を移した。


「地元の奴らとも何人か会ったから、商店街の中に行くと冷やかされるぞ」

「………!」

「花火が始まる前にこのまま抜けて、土手に紛れ込んだ方がいいんじゃねーの」


ヒメがそう言うと、蓮くんは頷いた。


「……そうだな。サンキュ」


………っ

ヒメと蓮くんが……普通に話してる……!

どちらも表情は固いままだけど、傍から見たら普通の友達同士の会話に聞こえた。

でも……2人は過去に優香さんを……



……! そういえば……!

あたしは違和感に気付き、優香さんを見る。

彼女は一言も発さずに、蓮くんの少し後ろに下がっていた。


「…………?」


なんか……変……

あたしが今まで見てきた優香さんは、ニコニコとヒメに笑いかけて、すごくよく話していた。

あの日だって、強引にヒメを連れ出したのに

……今の優香さんは表情を強張らせて、蓮くんの腕にしがみつくようにじっとしている。


「……ヒメ……」


思わず呟いてヒメを見上げると、ヒメも優香さんを見ている。

その視線に気付いた蓮くんが、優香さんの方に振り返って

………小さな声で言った。


「……怖がらなくていいよ、優香。
大丈夫だから」
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