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片想いの行方
第15章 花火
その時、ドォンという大きな音がこだまして

あたしとヒメは、同時に空を見上げる。

川原から大きな歓声が上がった。


夜空にいくつもの光が、上がっては消えていく。

あたしは花火を見つめながら、自分の心に耳を澄ませる。


「…………」


あたしは……蓮くんが好き。

嘘じゃない。

その気持ちが、偶然ヒメの目的と重なっただけ。

同じ片思いをしているあたし達は……共に同じ道を行く共同体のようなものだ。


……なのに……

どうして涙が出るんだろう……


自分の頬に、一筋の線ができる。

ヒメの言葉が、あたしの頭の中で響いていた。

救いたい、幸せになってほしいと言った、ヒメの真っ直ぐな想いは

蓮くんが大事だと言った、あの人だけに向けられている。

……そのことが……

なぜかあたしの胸をぎゅうっと締めつけて、苦しい。

……どうしてこんな気持ちになるの……?


「………!」


その時、ヒメの手があたしの頬に触れた。


「………なんで泣くの」


花火に照らされたヒメの瞳が

あたしを真っ直ぐ見つめる。
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