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第31章 片方のピアス

「……あなたも、後悔する前に
自分に素直になったら？」


帰ろうとする俺に向かって、優香が声をかけてきた。


「………なんの話？」

「あなたが、蓮に言った言葉よ」


俺は振り返って優香を見る。

優香は表情を変えない。


「蓮が私に別れを告げるとき、言ってたわ。
自分に正直になって、素直な気持ちになれたのは、ヒメのお陰だって」

「…………！」

「蓮に言っておきながら、あなた自身が自分の気持ちに嘘をついてどうするのよ」


優香の言葉に、ドクンと心臓が鳴る。

……何言ってんだよ……


「……意味わかんねぇ」


ぶっきらぼうに言い放つと


「ふふっ。今の言い方も、蓮そっくり」


優香がふっと笑った。