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片想いの行方
第35章 いつかのお返し
蓮くんとヒメは、無言のまま睨みあっていたけど
しばらくしてから
蓮くんがふっと笑った。
「……冗談だよ、バーカ」
……………!
蓮くんはそう言った後、あたしを見た。
「……じゃあな、“ 香月 ”。
このバカを宜しく」
「…………っ」
「“ 俺が転校してくるまでは ” この辺で1番イイ男だったらしいから。
その大事な顔が腫れないように、帰ったら冷やしてやってくれ。
……香月も、ちゃんと目を冷やせよ?」
「……っ 蓮く……!」
涙が、止まらない。
立ち上がりたいのに、体が動かない。
「1年間、本当に楽しかった。
………ありがとう」
蓮くんは、最後にもう一度微笑んだあと
研究室に向かって歩いていった。