この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
片想いの行方
第46章 朝の7時と、夜の9時
「…………」
彼は何も言わずに
玄関の扉に寄り掛かり、腕を組んで私を見つめる。
……見つめるではなく、睨みつけていると言った方が正しい。
「……どうしたんですか?
そんな立ったままだと、お体に……」
「1時間13分40秒」
私の言葉を遮り、彼が低い声で呟く。
「君が昨日、ここに来るまでに遅れた時間だ」
「…………っ」
「その失態を、今夜挽回しようと思わなかったのか?」
………私は彼の目の前に立つと
食材のビニール袋を持つ手に、きゅっと力を入れた。
「……ご存じだと思いますけど、今繁忙期で……
夜の8時前に会社を出るのは、無理なんです」
「そんなのは君の力量が足りないからだろ。
無駄な仕事は奈々にでも押し付けておけばいい」
「…………」
「君が1番に考えなくてはいけないのは何だ?」
一条さんの問いかけに
私は俯いたまま返事をする。
「………あなたです」
彼は何も言わずに
玄関の扉に寄り掛かり、腕を組んで私を見つめる。
……見つめるではなく、睨みつけていると言った方が正しい。
「……どうしたんですか?
そんな立ったままだと、お体に……」
「1時間13分40秒」
私の言葉を遮り、彼が低い声で呟く。
「君が昨日、ここに来るまでに遅れた時間だ」
「…………っ」
「その失態を、今夜挽回しようと思わなかったのか?」
………私は彼の目の前に立つと
食材のビニール袋を持つ手に、きゅっと力を入れた。
「……ご存じだと思いますけど、今繁忙期で……
夜の8時前に会社を出るのは、無理なんです」
「そんなのは君の力量が足りないからだろ。
無駄な仕事は奈々にでも押し付けておけばいい」
「…………」
「君が1番に考えなくてはいけないのは何だ?」
一条さんの問いかけに
私は俯いたまま返事をする。
「………あなたです」