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片想いの行方
第58章 忘れられない人

蓮くんの手から伝わる温もりを感じながらも

私は放心したまま口を開く。


「……私……ヒメが……」

「分かってる。ヒメが好きなんだろ?」

「……ヒメが私を助けてくれて、優しくしてくれて……」

「そうだよ、あいつは美和の為なら何でもする男だから。
お前がヒメに惹かれるのは当然だ」


蓮くんは、私を見つめたあと

強く体を引きよせて、私を抱きしめた。


「……………!」

「だけど俺は、美和が欲しい」


蓮くんの低い声が、耳の後ろから響く。


「美和が誰を好きでも、俺はお前だけをずっと愛し続ける。
俺が、美和を幸せにしたい」

「…………っ」


包まれた腕と想いの強さに、涙が零れる。

私は、そっとその背中に手を回した。


「……私、ヒメの事が好きかはわからないけど、揺れてるのは確かなの」

「………そっか。
なら、それでいいよ」

「……っ よくないよ……
私の勝手な想いが、2人を傷つけて……」

「俺がヒメを忘れさせてやる」


蓮くんは私から体を離して、まっすぐに見つめた。


「いつか必ず、ヒメよりも俺を選んで良かったと言わせるから。
だから、俺を信じてほしい」
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