この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
片想いの行方
第58章 忘れられない人
蓮くんの手から伝わる温もりを感じながらも
私は放心したまま口を開く。
「……私……ヒメが……」
「分かってる。ヒメが好きなんだろ?」
「……ヒメが私を助けてくれて、優しくしてくれて……」
「そうだよ、あいつは美和の為なら何でもする男だから。
お前がヒメに惹かれるのは当然だ」
蓮くんは、私を見つめたあと
強く体を引きよせて、私を抱きしめた。
「……………!」
「だけど俺は、美和が欲しい」
蓮くんの低い声が、耳の後ろから響く。
「美和が誰を好きでも、俺はお前だけをずっと愛し続ける。
俺が、美和を幸せにしたい」
「…………っ」
包まれた腕と想いの強さに、涙が零れる。
私は、そっとその背中に手を回した。
「……私、ヒメの事が好きかはわからないけど、揺れてるのは確かなの」
「………そっか。
なら、それでいいよ」
「……っ よくないよ……
私の勝手な想いが、2人を傷つけて……」
「俺がヒメを忘れさせてやる」
蓮くんは私から体を離して、まっすぐに見つめた。
「いつか必ず、ヒメよりも俺を選んで良かったと言わせるから。
だから、俺を信じてほしい」