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片想いの行方
第62章 過去と未来
どのくらいの沈黙だったのか分からない。
私には、永遠のように長い時間に感じていたけど
頬に触れたままの蓮くんの手が、ゆっくりと私の手に移った。
「…………!」
「初めて、ハッキリ言ったな」
蓮くんは、ぎゅっと私の手を握った。
「……美和。
俺達がこのまま付き合った場合の、未来予想図。
お前も思い浮かべてみな?」
「………!」
「この会社にいる以上、海外に居る時の方が多いから。
俺はその間、美和とヒメが接近しないか不安になる」
「……蓮く……」
「それに、総合商社マンの浮気率、お前も聞いたことあるだろ?
色んな女と出逢うから、これから何度も美和に心配かける事になるよ」
蓮くんはふっと笑った。
「……俺、本当に美和が好きだからさ。
そんな暗い未来の可能性を考えただけで
耐えられない程苦しくなる、弱虫なんだ」
「……………っ」
「……だから……
高校時代の綺麗な思い出として、終わりにした方がいいのかもな」
蓮くんは優しい笑顔で、真っ直ぐ私を見つめる。
その瞳から、目が離せない。