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片想いの行方
第63章 2人の蓮

ビジネスクラスの1番後ろの席に座り、携帯からメールが送信されたことを確認する。

飛行機の窓から見える空は、今まさに沈もうとしている夕陽によって赤く染まっていた。


「……………」


さっきまで高鳴っていた心臓と、止まらなかった涙が

その美しい景色によって、徐々に治まっていく。


………きっと今頃

一歩踏み出した美和が、あいつの元へと全力で走っている。

……俺も、未来に向かって自分の扉を開けないとな………

そんなことをぼんやりと思っていると


「お客様。
そろそろ離陸のお時間ですので、シートベルトの着用をお願いします」


通路からCAに声を掛けられ、慌てて携帯をしまう。

ぼーっとしていた頭を切り替えようとすると


「当便の行き先はニューヨークJFK。
到着しましたら、その泣き顔の理由をお聞きしても?」

「…………!」


色気のある甘い声。

顔を上げてそのCAを見ると


「また急な出張?
年末まで仕事なんてツイてないわね。
………って私もか」


驚く俺を見て、瑠璃はふっと笑った。
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