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片想いの行方
第63章 2人の蓮

美和が顔を上げる。

今にも零れてしまいそうな涙が、その瞳に浮かんでいた。



「……応援歌を、歌ってくれた。

私の作った料理、美味しいって褒めてくれた。

一条さんの事を話したのに、引かずに私を抱きしめてくれた。

……助けてって、言わせてくれた」



「………美和………」



「まだ、あるよ。

私が自分の力で未来に行けるように、ヒメが導いてくれたから………」



俺の背中にまわした手に、美和はぎゅっと力をいれた。


そして


震える声を絞り出す。



「………好きなの。

だから、お願い。

……抱きしめてよ、ヒメ……」



「……………っ」




美和のその一言で


俺はようやくその体を包み込んだ。


冷たくなった体に、一瞬で温かさが伝わる。

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