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異常性愛
第29章 相克
子を欲しがる真美にどうにか子を持たせてやりたい。
真美の私への想いを成就させてやりたい。
真美の願いを叶えることが亭主の喜びだった。
自分の愛する者の願望を叶えること。
それが亭主の愛だったのだ。
私はこの男を大きく誤解していたのかもしれない。
歪ではあるが、人一倍 人情深い男なのかもしれない。
深く座り直した亭主は、言葉を返さない私に質問した。
『なぁ大輔クン。
もしキミの奥方が、
よその男に絆(ほだ)されて、
その愛に縛られ、
叩きのめされたとしたら、
キミは何を恨むんだい?
不貞を働いた奥方か?
奥方を愛した相手の男か?
私なら、奥方を愛した自分を恨むね。』
それは違う。
だから涼子はこの男を愛せなかったのだ。