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異常性愛
第11章 アフロディーテの慟哭
快感に喘いだ涼子の顔が浮かぶ。
その表情を私以外の男に見せていたと思うと、涼子に裏切られた悲しみが湧き上がる。
涼子を奪った男への怒りより、女を奪われた男としての情けない思いが勝り、涼子を失うという恐怖感に手が震えた。
セックスを終えた後の笑い声や仲睦まじい雰囲気が、ベッドの二人の世界と私を乖離させ、無視された疎外感と、置いていかれた焦燥感が私の気力を奪う。
自分を慰めようと性行為から掛離れた涼子を、写真をばら撒くように思い浮かべた。
眩しそうに空を見る涼子、風に乱れる髪を抑える涼子、秋物のシャツを品定めする涼子。
いくつもの涼子が私に両手を広げ、微笑み、優しい眼差しをくれる。
私は混乱していた。
何故これほど掻き乱されるのか。
過去にこんな思いをしたことがない。
女性に乾いた感情しか抱かなかった私が、涼子への想いを心にこびり付かせて離さない。