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異常性愛
第19章 変わらないもの
  
『俺、怖かったんだ。
 誰にも愛されてないんじゃないかと思って。
 あの家に居るとね、そう思っちゃうんだよ。

 ママにも愛されてなかったから、
 置いてかれたんだって、ずっとそう思ってた。
 で、拗ねてたらさ、

 何グズグズ言ってんだ!
 一回見てこいって言われたんだよ。

 それでやっと動き出して、そこまで来たんだ。
 でも神社の手前でまた怖くなって、
 帰りかけてたんだ。
  
 アイツの、晶子のおかげなんだ。

 晶子に叱られたんだ。
 ママに直接聞けって、あなたとママは家族だって。
 で、やっとこさ来れたんだ。

 だから遅くなって、ごめん。
 もっともっと早く来れてたんだよ。
 
 ここの便所と一緒でさ、手が出るんじゃないかって
 ビビッてた。
 
 弱い俺のせいなんだ。ママを待たせたのは。
 だからもう、泣かないで。
 俺も悲しくなっちゃうよ・・・・。

 いい日なんだよ今日は。
 嫁さんも見せたろ。
 次は孫だって抱かせてあげるから。
 今日からいつでも逢えるんだよ。
 だから・・・だから・・・泣かないでよ、ママ。』



もうダメだった。

欅の座卓を間に、

私と母は、二十八年分の涙を流した。











第十九章 -変わらないもの- 完



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