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カウントダウン
第2章 ウ
「もう・・・蒼くんあーゆーのやめてよね」
「あーゆーのって?」

きょとんとして私の前に座ってAランチを食べる男。

「なんで皆にわざわざ付き合いますって宣言するのよ?」
「5年前にできなかった事をしてるだけ。
やりたいことの1つ目。恋人宣言。カウント1だよ」

しれっと答えて食べ続ける男と
私はどうやら注目の的らしい。
ヒソヒソと私たちを噂にする視線が痛い。

「私、女の子に恨まれるのいやなんだけど」

そう言えば、お箸を置いてじっと見つめる。

「だから?」
「え?」
「だから5年前も皆に言うのいやがったの?」

少し悲しそうに言うその顔がなんだか泣きそうに思えて。
うん。というのをためらった。

「あの時は、子供だったけど」
ん?
「今は里香を守れるぐらいは大人になったつもりだよ」
「う・・・ん?」
「何かあったらすぐ俺に言って。絶対に一人で我慢しないで」
「うん・・・」

そう言った後、さわやかな笑顔で
よし!と私の頭を片手でポンとした。

その言い方は真剣そのもので
これが「フリ」だなんて忘れてしまいそうだよ。

「ところで、付き合うってまずは何をしたいわけ?」
そんな私の問にスマホを取りだして
「メアド教えて」と言うから
「蒼くん、メアド変わった?」と聞くと
変わってない。と小さい声で言う。

「んじゃ、待ってて」
と私は自分のスマホを操作した。
「よし!おっけ~」
「何がOKなの?」
「あ、着信拒否、解除したよ。私も変わってないから、って
蒼くんはとっくに削除してるなら私からメール送ろうか?」

そんな私の言葉に、小さく苦笑いした後
「いや。俺も削除してないから」
「じゃ、いいね」
と話を終わりにした。

「まだ、着信拒否されたままだったんだ・・・」

小さくつぶやいたその言葉を
私は拾う事が出来なかった。
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