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監禁DAYS
第5章 今だから言わせて
「あ……」
美月は思い出したように口を閉じると、歯を噛み締めて俯いた。
一瞬寒気がした俺は急いで顎を掴んで持ち上げた。
唇の端から血が滴っている。
「なにしてんだ!」
力づくで口を開かせる。
真っ赤に染まった舌がだらりと咥内でのたうった。
「み、か……」
もう俺など眼に入っていなかった。
何も言えなかった。
三日前とは違う。
久しぶりに会った美月という人間が少しずつわかってきた。
その分距離が離れていく。
雨を怖がり、死んだ妹に強い思いを抱いて。
依存症とおかしな病気に人生を狂わされて。
理解なんてしようとする方が頭おかしい。
だが、いい。
あと二日。
頭おかしくなってみよう。
高校以来、話すことすら出来なかった美月が目の前にいる。
壊れかけて。
ほんの少しでいい。
死ぬまでのお前を理解してみよう。
美月の頭を抱く。
温もりが胸元に感じる。
体温があるうちに。
命があるうちに。
「ふ……」
笑いが洩れる。
何を考えているのか。
とことん、美月に引きずられている。
ターゲットに。
それでもかまわないという俺がいる。
ちらりとパソコンの画面に映る岸原を一瞥した。
閉じ込められたその日から部屋に置かれた包丁をずっといじっている姿を。
明日。
お前は美月に殺される。
殺した女の姉に。
暗い。
寒い。
救いようのない話が目の前に横たわっている。
美月は思い出したように口を閉じると、歯を噛み締めて俯いた。
一瞬寒気がした俺は急いで顎を掴んで持ち上げた。
唇の端から血が滴っている。
「なにしてんだ!」
力づくで口を開かせる。
真っ赤に染まった舌がだらりと咥内でのたうった。
「み、か……」
もう俺など眼に入っていなかった。
何も言えなかった。
三日前とは違う。
久しぶりに会った美月という人間が少しずつわかってきた。
その分距離が離れていく。
雨を怖がり、死んだ妹に強い思いを抱いて。
依存症とおかしな病気に人生を狂わされて。
理解なんてしようとする方が頭おかしい。
だが、いい。
あと二日。
頭おかしくなってみよう。
高校以来、話すことすら出来なかった美月が目の前にいる。
壊れかけて。
ほんの少しでいい。
死ぬまでのお前を理解してみよう。
美月の頭を抱く。
温もりが胸元に感じる。
体温があるうちに。
命があるうちに。
「ふ……」
笑いが洩れる。
何を考えているのか。
とことん、美月に引きずられている。
ターゲットに。
それでもかまわないという俺がいる。
ちらりとパソコンの画面に映る岸原を一瞥した。
閉じ込められたその日から部屋に置かれた包丁をずっといじっている姿を。
明日。
お前は美月に殺される。
殺した女の姉に。
暗い。
寒い。
救いようのない話が目の前に横たわっている。