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オルテンシア【紫陽花】~檻の中の花嫁~
第5章 ☆♯03 SceneⅢ(SeaSide~海辺にて~)☆
背後で小さく舌打ちするのが聞こえた。
海は不思議だと思う。寄せては返す白い波がしらを見ていると、母が幼い頃に添い寝しながら読み聞かせてくれた寓話を思い出すのだ。
―人魚姫は、そうして、泡になって天高くへと還ってゆきました。
なるほど、蒼い波をふちどる白くて繊細なレース模様のような光景を眺めていると、あの蒼い水の底には人魚たちの住まう城があって、本当に美しい彼(か)の姫がいるのではないかとさえ思えてしまう。
海は不思議だと思う。寄せては返す白い波がしらを見ていると、母が幼い頃に添い寝しながら読み聞かせてくれた寓話を思い出すのだ。
―人魚姫は、そうして、泡になって天高くへと還ってゆきました。
なるほど、蒼い波をふちどる白くて繊細なレース模様のような光景を眺めていると、あの蒼い水の底には人魚たちの住まう城があって、本当に美しい彼(か)の姫がいるのではないかとさえ思えてしまう。