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オルテンシア【紫陽花】~檻の中の花嫁~
第6章 ☆♯04 SceneⅣ(情炎~JOUEN~)☆
―助けて、呑み込まれる―。
 叫ぼうとしても、声にならない。そこで、ハッとめざめた。意識がゆっくりと水底(みなそこ)から浮上してくるような感覚があって、次第に頭が冴えてくる。
 美月は、ゆっくりと周囲を見回し、たちまちにして蒼褪めた。既に車窓の向こうの光景は菫色の中に沈み込んでいる。まだ眼が暗さに慣れていないため、しかとは判じ得ないけれど、何かが違う。第一、外がこの暗さだということは既に陽暮れ時を過ぎていることを示している。
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