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オルテンシア【紫陽花】~檻の中の花嫁~
第6章 ☆♯04 SceneⅣ(情炎~JOUEN~)☆
正直、愛することのできない男に抱かれ続けるのは苦痛でしかない。たとえ身体はどれほど悦ぼうと、美月の心が満たされることはないのだ。
美月は無意識のうちに、果物ナイフを手に取った。庭に面した障子越しに差し込んでくる陽光を受けて、小さなナイフが鈍いきらめきを放つ。鋭利な刃をそっと左手首に添わせ、力をほんの少しだけ込める。
溢れ出した鮮やかな血を、美月はまるで他人事のように茫然と眺めていた。
美月は無意識のうちに、果物ナイフを手に取った。庭に面した障子越しに差し込んでくる陽光を受けて、小さなナイフが鈍いきらめきを放つ。鋭利な刃をそっと左手首に添わせ、力をほんの少しだけ込める。
溢れ出した鮮やかな血を、美月はまるで他人事のように茫然と眺めていた。