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オルテンシア【紫陽花】~檻の中の花嫁~
第8章 ☆♯05 SceneⅤ(AnniverSarY~記念日~)☆
 そのときだった。
 本当に突然、身体の奥底から猛烈な吐き気がせり上がってきた。
 美月はあまりの息苦しさに手のひらで口許を押さえ、その場に蹲った。コホコホと涙眼になるまで咳き込み続けても、吐き気は一向に去らなかった。ここ数日はろくに食べていないので、いくら咳いても出てくるのは苦い唾液だけだ。
 大きな手のひらが躊躇いがちに美月の背中を撫でた。不器用だけれど、温もりのある優しい手だ。
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