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オルテンシア【紫陽花】~檻の中の花嫁~
第8章 ☆♯05 SceneⅤ(AnniverSarY~記念日~)☆
 涙が滲み、勇一の顔がはっきりと見えない。ふいに立ち上がった美月は踵を返し、勇一に背を向けて走り去ろうとした。
「どこへ行くんだ?」
 勇一が美月の細い手首を咄嗟に掴んだ。
「私、もう勇一さんの傍にはいられない。一緒にいる資格なんて、ないもの」
 泣きながら訴える美月を引き寄せ、勇一は自分の方に向かせた。その両肩に手のひらをのせ、美月の顔を覗き込む。
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