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オルテンシア【紫陽花】~檻の中の花嫁~
第9章 ♯06 SceneⅥ Autum Park
「このようなことを申し上げるのは失礼だと承知でお訊ねします。そちらは、速見さんのご主人ですか? 保険証を見せて頂いたところ、速見さんのお名前は、速見ではなく、押口となっていますが、お隣においでなのがご主人の押口晃司さんですか?」
「あ―」
 美月は片手で口許を押さえた。何も言えない、言えるはずもない。美月は医師の指摘するとおり、〝速見美月〟ではなく、〝押口美月〟なのだから。
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